「有酸素運動しているのに、体脂肪が減らないんだけど」と悩んでいるあなた。その理由は次の通りです。
- 1:計算してみると、減っている
- 2:運動の時間・期間が短い
- 3:運動時間が長い
- 4:食べ過ぎ
- 5:2か月以上ダイエットに成功している
- 6:極端な食事制限をしている
- 7:計る時間がバラバラ
そして、1キロ脂肪が減る計算をしてみます。さらに、プラスする「筋トレ」「食事」をそれぞれご紹介。これで、あなたは前を向ける。さあ、早速読み進めてください。
減らない7つの理由
有酸素運動で体脂肪が減らない理由は、次の通りです。
- 1:計算してみると、減っている
- 2:運動の時間・期間が短い
- 3:運動時間が長い
- 4:食べ過ぎ
- 5:2か月以上ダイエットに成功している
- 6:極端な食事制限をしている
- 7:計る時間がバラバラ
では、確認です。
1:計算してみると、減っている
まず、計算してみると、減っている点。

- 60kgの「20%」=12kg
- 50kgの「20%」=10kg
つまり、体脂肪自体は減っています。
体脂肪も、それ以外も減っていく
痩せるとは、脂肪のほかに、筋肉なども減ります。

大きいのは水分ですね。
2:運動の時間・期間が短い
続いて、運動の時間・期間が短い点ですね。「1回あたり5分」や「歩き始めて1週間で」は結果が出ません。当然です。
細切れも効果はある
ただ、有酸素運動は「細切れで回数」を多くしても「1回あたり長い時間」やるのと、同じ効果があることは、論文で証明されています。
すなわち,休息時間を挟みながら間欠的に有酸素運動を行っても,運動強度と運動時間の合計が同一であれば連続的に運動した場合と同等のV4 O2(運動の強さ) およびEE(エネルギー消費量)が得られ,運動終了後はより多大なEPOC(運動したあと、カロリーを沢山使う状態)の得られることが明らかになった.
通勤・通学にジョギングやウォーキング、自転車をしている人は安心してください。
3:運動時間が長い
運動時間が長いのも、実は痩せにくくなります。なぜなら「少ないエネルギー」で「多く動ける体」になるから。42.195㎞のフルマラソンや、100キロマラソンなどを目指すと、この体になってしまうのです。
4:食べ過ぎ
続いて、単純に食べ過ぎ。ダイエットになっていない点になります。
運動で使うカロリーの少なさを知らない
運動で使うカロリーは、意外と少ないです。例えば、ジョギングで「30分」走った場合を計算してみます。運動で消費するカロリーの計算式は、こちらになります。
カロリー=
- 運動の強さ(メッツ)×
- 運動時間(時間)×
- 体重(kg)×
- 1.05
そして、ジョギングの運動の強さは「6.0」メッツ。つまり「60kg」の人が走った場合…。
- 6.0(メッツ)×
- 1/2(時間)×
- 60(kg)×
- 1.05=
189kcal
かなり低いですよね。つまり「ご褒美のケーキ」を食べると、カロリーオーバーになるのです。
5:2か月以上ダイエットに成功している
2か月以上ダイエットに成功していると、体重が減りにくいです。なぜなら、食べ物がずっと少ない状況は「飢餓(きが)」と同じだから。
これは生命の危機。つまり、スマホの「エコモード」のように、エネルギーを使わないのです。
停滞期がこれ
ダイエットの停滞期が、これです。そして、多くの人が「体が生命の危機を感じている」ことを知らない。だから「なんで?」「痩せない…」と不満を持ち、ダイエットを止めるのです。
6:極端な食事制限をしている
極端な食事制限も、体が「危機」を感じて、カロリーを使いません。その状況とは、こちらです。
- 絶食
- 1日1,000kcal以下
- 1か月に3キロ以上減った
- 1か月に体重の5%以上減った
これを「生命の危機」と感じてしまいます。そして「筋肉を分解」して、エネルギーを作り出す。これを「糖新生(とうしんせい)」と言うのですが、太りやすい体になってしまう。筋肉がどんどん減るからですね。
その一方で、脂肪はそのまま。「大事なエネルギーの貯金」なので、体は取っておきたい。つまり、無くしたいのに、体についたままなのです。
7:計る時間がバラバラ
計る時間がバラバラなのも、あり得ますね。体重も体脂肪も、不安定な数字です。体脂肪率が、色々なものから影響を受けることは、体脂肪計のメーカー「タニタ」のサイトで記載があります。
生体電気インピーダンス(BIA=Bioelectrical Impedance Analysis)法とは、からだに微弱な電流を流し、その際の電気の流れやすさ(電気抵抗値)を計測することで体組成を推定する方法です。「脂肪はほとんど電気を流しませんが、筋肉などの電解質を多く含む組織は電気を流しやすい」という特性を利用します
これは食事や入浴により体水分・体温などの変化が起こることで体組成の計測値に影響が出ることで、日々の変動傾向の把握を妨げてしまうためです。
さらに、体重は、このような変化があります。
- 食事を取ると、変わります
- 水分を取ると、変わります。
- 睡眠不足だと、変わります。
- トイレに行くと、変わります。
- 1日で、±2キロ変わります。
だから、気にする必要はありません。
脂肪1キロ減らすための運動を計算してみる
脂肪1キロ減らすのに、必要な運動時間を考えてみましょう。

脂肪1キロは7,200kcalですが、食べ物やグリコーゲン(筋肉や肝臓に貯め込んだエネルギー)もあるので、2倍の「14,400kcal」使うと考えましょう。
1:ウォーキング
- 家の中を歩く
2.0メッツ 114時間
- やや早歩き
3.5メッツ 64時間
- 通勤・通学
4.0メッツ 56時間
2:ジョギング
- ゆっくりとしたジョギング
6.0メッツ 38時間
- ジョギング
8.0メッツ 28時間
3:自転車
- 自転車(自分のペースで)
6.8メッツ 33時間
- 自転車(全般)
7.5メッツ 30時間
4:エアロビクス
- 弱い衝撃
5.0メッツ 45時間
- 強い衝撃
7.3メッツ 31時間
脂肪を分解する方法としては正しい


ただ、ダイエットとして正しい方法。なぜなら、脂肪を分解するホルモンである「カテコールアミン」を出すから。
ちなみに、カテコールアミンとは「アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンをまとめて言ったもの(総称:そうしょう)」になります。こちらが、その証明です。
脂肪動員の引き金になるのは、アドレナリンやノルアドレナリンなどの、カテコールアミンとよばれるホルモンである。
~(中略)~
カテコールアミンの血中濃度が高まり、脂肪細胞表面の受容体に結合する。これに応答してペリリピンがリン酸化されると、CGI-58はペリリピンから離れ、かわりに ATGL と相互作用することによって、この酵素を活性化する。またペリリピンがリン酸化されることによって、HSL は脂肪滴にアクセスできるようになる。HSL 自身のリン酸化も、脂肪滴へのアクセスと活性化に寄与する。
このように、多くのタンパク質や酵素が脂肪滴表面で協調してはたらくことにより、大規模な脂肪分解が起こると考えられる。

だから、正しいのです。
筋トレの追加をおすすめ
そして、筋トレの追加をおすすめします。なぜなら、筋肉が成長すると、エネルギーを使いやすい体になるから。
筋肉はエネルギーを使うところ
筋肉はエネルギーを多く使います。車でいうエンジンと同じですね。トラックと軽自動車では、使うガソリンの量が全く違う。だから、筋トレをおすすめするのです。
体感を鍛える筋トレ 5選
そして、あなたがやっている「有酸素運動に役立つ筋肉」を鍛えるべきですよね。そうすれば、パフォーマンスが上がり、ダイエット効果も上がります。
「体幹(たいかん)」とは、体の中心部分です。これで「体の軸がぶれない」ため、パフォーマンスが上がるのです。そこで、次の5つをご紹介しましょう。
- その1:ロングブレス
- その2:ドローイン
- その3:腹筋
- その4:腕・背中を鍛える腕立て伏せ
- その5:足を鍛えるスクワット

イラスト付きで、世界一わかりやすく解説します。
その1:ロングブレス
ロングブレスとは、俳優でもある「美木良介(みきりょうすけ)」さんが、編み出した呼吸法です。腹横筋(ふくおうきん)と呼ばれる、お腹の中の筋肉(インナーマッスル)が鍛えられるのです。それでは、イラストを使って、やり方の解説です。

- 鼻から3秒かけて行う
- 腕はまっすぐ上に
- 足は少し前後にずらす
- 腰を少し反らす


- 口から7秒かけて、吐き切る
- 必ず7秒吐く
- 腕は思いっきり閉じる
その2:ドローイン

- 鼻から3秒かけて吸う
- お腹を凹ませる

- 口から7秒かけて吐く
- 必ず吐き切る
- お腹をさらに凹ませる
その3:腹筋

- イスに座って、座面をつかむ
- 体を安定させる
- ひざを抱えるように、曲げる

- 息を吐きながら、足を伸ばす
- 2秒かけて、行う
- 上半身は、少し後ろに倒し気味で

- 足をまっすぐにして、1秒キープ

- 息を吸いながら、足を曲げる
- 2秒かけて「A」に戻す
その4:腕・背中を鍛える腕立て伏せ
これは腕や背中を鍛えられます。

では、動きの解説です。

- 手は胸の下、肩幅より少し狭め
- 体は一直線に
ひざをつく場所で負荷の調整ができます

- 肩を引き寄せながら、体を落とす
- 2秒かけて、息を吸いながら行う

- 床ギリギリまで落として、1秒キープ

- 息を吐きながら、体を上げる
- 2秒かけて「A」に戻す
その5:足を鍛えるスクワット
有酸素運動は、足を多く使うので、雨などで出来ない時に行いましょう。

- 腕は胸の前
- 両足にしっかりと体重をかける

- 息を吸いながら、体を落とす
- 2秒かけて行う

- ふくらはぎと、太ももの裏がつくくらいで1秒キープ

- 息を吐きながら、体を上げる
- 2秒かけて「A」に戻す
走っているならダッシュも魅力
ジョギングなら、ダッシュもいいですね。この3つの意識で、走り方が変わります。
- ひじを後ろに
- ひざを前に
- 股間を前に

これだけで、全く変わります。
HIITという練習方法
ダッシュ4本のように「数十秒の全力運動と休憩を交互に行うトレーニング」を「HIIT(ヒート)」と言い、先ほどのカテコールアミンを出します。
血漿A(アドレナリンの濃度)は70~90%(運動)強度で急激に増加したのに対して

運動前後の食事について
さらに、運動前後の食事について、ご紹介します。
運動前は、糖質をとってもOK
運動前は、糖質をとってもOKです。これで、体が動きやすくなり、タイムや負荷を上げても耐えられます。力を出し切ると、カテコールアミンも、より発生しますからね。
アドレナリンとノルアドレナリンは70%VO2MAX(運動の強さ)の場合に、運動60分後と2時間後で他の条件に比べ(30%~60%の運動の強さの)約2倍もの濃度差が認められた
ただ、脂っこい肉など、消化に時間がかかるものは、体が重くなるので、避けましょう。
運動中は、お茶などにする
運動中は、お茶などにすること。スポーツドリンクなど、砂糖が入ったものだと、それが先に使われ、脂肪を分解したエネルギーが後回しになります。そして、残れば、当然脂肪に戻ってしまう。だから、水・お茶などがいいのです。
運動した後は、タンパク質などを多めに取る
運動したあとは、タンパク質などを多めに取ること。これは体を作る栄養になります。
- 水分 : 62.6%
- タンパク質:16.4%
- 脂質:15.3%
- ミネラル:5.7%
- 糖質:1%未満
糖質などのエネルギーは、それほど必要ないので、おかずを多めに取りましょう。
最強の食事 2つの要件
そして、最強の食事は、次の2つの要件があるものです。
- その1:栄養バランスが整っている
- その2:基礎代謝(きそたいしゃ)以上
こちらも見ていきましょう。
その1:栄養バランスが整っている
まずは、栄養バランスが整っているもの。これが最強です。なぜなら、髪も、筋肉も、肌も、爪も、内臓も作り変えて生きているので、それらの材料が入れば体は満足するから。
ご飯だけ、パンだけでなく、肉も、魚も、野菜も、きのこも、あなたには必要なのです。

これらが入っているのが「鍋物」。これが最強ですよ。
そして、3日の間で、バランスを取りましょう。食べ物の消化にも、これくらい時間がかかります。1回の食事や、1日の中でだと、面倒で続きませんからね。
その2:基礎代謝(きそたいしゃ)以上
カロリーは、1日に必要な最低限のカロリーである「基礎代謝」以上、取りましょう。これは、身長、体重、年齢で違いが出ます。
ハリス・ベネディクト方程式(改良版)を使って基礎代謝量を計算しています。
男性
- 13.397×【体重(kg)】
- +4.799×【身長(cm)】
- -5.677×【(年齢)】
- +88.362
女性
- 9.247×【体重(kg)】
- +3.098×【身長(cm)】
- -4.33×【(年齢)】
- +447.593
先ほどもお話しした通り、これ以下では、糖新生が働くので、カロリーもしっかり取ることが大事です。

ちなみに、糖質を制限するなら1日120~150gにすること。これも論文で証明されています。
一方、世界的に糖質制限食の研究結果の報告が蓄積され、1 日の糖質摂取量を120gあるいは150g以下にするような食事法が血糖、体重、血圧、脂質といったメタボリックシンドロームの構成要素のすべてに有効であることが示されている。

情報は力になりますね。
まとめ
有酸素運動はダイエットにとって、いい方法です。ただ、それだけではダメ。筋トレと食事を組み合わせて、結果が出てくるもの。きちんとその「特徴を生かして、利用」しましょう。情報こそ、あなたの力になる。さあ、また走り出すのです。
60kg→50kgで同じ「体脂肪率20%」だった場合、こうです。