「ボクシングは護身になるのかな?」と思っているあなた。

護身にはなるが、絶対的ではありません。そこを詳しくお話ししましょう。さらに、喧嘩の時には、正当防衛(せいとうぼうえい:身を守るために、拳を使ったので、犯罪にならない)になりにくい点も説明します。
これで、あなたの頭はスッキリする。さあ、早速、下にスクロールしてください。
ボクシングは「護身になる」が「絶対的ではない」
ボクシングは
- 「護身になる」が
- 「絶対的ではない」です。
この2つを、それぞれ説明します。
護身になる3つの理由

まずは、護身になる3つの理由です。
- 目が違う
- パンチの質が違う
- 距離が違う
1つずつ確認していきましょう。
その1:目が違う
ボクサーは、一般の人の攻撃が当たりません。それは「奥→手前」の動きを見極める目を鍛えているから。
目は「奥→手前」に動かない

目は「奥→手前」に動きません。だから、1mもない拳の動きでも、当たってしまう。これはトレーニングしないと、絶対に身につかない力。
目は「上下左右」に動くから、走っている車は見れる
ただ、目は「上下左右」に動きます。


だから、時速100㎞の車も目で追えるのです。

その2:パンチの質が違う
ボクサーと素人では、パンチの質が違います。なぜなら「パンチを切る」からです。
パンチを切るとは「相手の向こうまで攻撃を飛ばし、すぐに引っ込めること」
パンチを切るとは「相手の向こうまで攻撃を飛ばし、すぐに引っ込めること」です。例えば、ミット打ちという練習があります。

やっているときのイメージはこちらです。

これが「パンチの切り方」。ミットの少し奥を当てるように、拳を「打ちぬく」。これで「ドン!」と短く重い音がなります。
しかし、素人は拳を押し込むだけ、ずっと手を出した状態にします。音としては「パーン」と言う、軽く長い音。この違いがあるのです。


衝撃の違いは「サンドバッグの揺れ方」で分かる
ボクサーのパンチは、サンドバッグが縦に揺れます。

それと比べて、素人は、横に揺れます。


そして、サンドバッグを人と考えると、恐ろしいことが分かります。
サンドバッグを人と考えると、怖い…
サンドバッグを人と考えてみましょう。とても怖いことがわかります。
「脳みそ」「内臓」を動かす。体の「内側」を壊すイメージ。
ちなみに、顔面にあたると、脳みそが揺れ、膝から倒れる


肌などへの攻撃。体の「外側」を壊すイメージ。
出血は起きるが、すぐに立ち上がれる



ボクサーのパンチを受けると「アルコールを飲んだときの頭の痛さ」みたいのを感じます。
また、お腹だと、内臓が動き、体がしびれる。私もボディに打たれてダウンしたので、よくわかります。
その3:距離が違う
ボクサーと素人では、攻撃の届く距離が違います。それは下半身を使うから。
ボクサーは下半身で、パンチを打つ
ボクサーは下半身でパンチを打ちます。なぜなら、パンチの威力が増すから。下半身の筋肉は「上半身の2倍」です。だから、簡単に攻撃力が上がるのです。
そして、足を使うと、距離も長くなるのです。例えば、素人は「手が届く距離」だけです。

しかし、ボクサーは「その1mほど先」になります。

つまり「ボクサーだけ、攻撃があたるスペース」がある。これは、もう「勝ち」ですよね。
絶対的ではない理由は「不意打ち」
ここまで説明しましたが、絶対的ではありません。なぜなら、目で見えない「不意打ち」は、防ぎようがないから。
目で見てからの判断になる

実は、格闘家としても有名な「須藤元気(すどうげんき)氏」が、暴漢に襲われるという事件がありました。
須藤元気
2003年7月24日、渋谷区の路上でバイクに乗った通り魔に脇腹を刺され軽傷。
もし目で追えたなら、確実によけたでしょう。でも、出来なかった理由はただ1つ。目で見なかったからです。
喧嘩の時にあまり使えないのは、正当防衛になりにくいから
さらに、ボクシングは喧嘩の時に、あまり使えません。なぜなら、正当防衛になりにくいから。
正当防衛に必要な5つの要件

では、まず正当防衛に必要な5つの条件をご紹介しましょう。
- 不正の侵害かどうか
上記の通り,相手の行為に違法性があったかどうかが判断基準となります。
- 急迫性があるかどうか
上記の通り,今相手からの侵害を受けているかどうかが判断基準となります。
- 防衛の意思があったかどうか
客観的状況からみて,行った行為に攻撃の意思は無く防衛の意思があったのかどうかが判断基準となります。
- 防衛行為の必要性があるかどうか
防衛のためにその行為をする必要性があったかどうかが判断基準となります。
- 防衛行為の相当性があるかどうか
不当な侵害の危機を回避するためにとった防衛行為が,必要最低限のものだったのか,本当に防衛のためだったのかどうかが判断基準となります。
これら五つの条件が当てはまる場合,正当防衛とみなされます。
ボクサーの拳は、相当性になりにくい

そして、北海道大学法学部出身の私が考えるに、先ほどの5つ目「相当性の条件」が成立しにくいです。なぜなら、ボクサーの拳は「凶器」と判断されるから。つまり「ナイフ」を持っている人と同じと思われます。
身を守る1番の方法は「危ない場所に行かないこと」

つまり、身を守る1番の方法は「危ない場所に行かないこと」です。なぜなら、拳を使わないのが、安全だから。

まとめ
ボクシングは護身になりますが、正しいトレーニングをすると「これは使っちゃいけない」と自然に思うほど、強くなります。実際に私も「これは危ないな」と感じるほど、威力が上がりました。
練習をしっかりすれば「護身」ではなく「自分より強い人」に自然と目が向きますよ。