「腕立て伏せに必要な筋肉って、どこ?」と思っているあなた。上半身と下半身に分けて、お話しします。また、作られる筋肉も説明しましょう。「大きく強くするのか」「細く引き締めるのか」この違いがあるのです。
さらに、正しいフォームについて。これで、筋肉に刺激を与えられ、成長できますよ。そして、普通の腕立て伏せが難しいなら、4つのトレーニングをお話しします。
1:ひざをついて
2:机や階段に手をついて
3:壁に手をついて
4:フロントブリッジ
最後に3つの効果。
1:アンチエイジング
2:健康
3:ダイエット
これで、筋トレしたくなり、ウズウズします。さあ、眠っている筋肉を起こしてください。
腕立て伏せに必要な筋肉
腕立て伏せに必要な筋肉を「上半身」「下半身」に分けて、考えましょう。まずは、上半身から。
1:上半身
上半身は、トレーニングの違いで、作られる筋肉が違います。
まずは基本の3つ
まずは、基本の3つです。
①:三角筋(さんかくきん:肩)

②:上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん:二の腕)
③:僧帽筋(そうぼうきん:首・背中)

ここが腕立て伏せでは、鍛えられます。
痩せマッチョなら、腕を閉じる
痩せマッチョを目指すなら、腕を閉じましょう。広背筋(こうはいきん)という背中の筋肉が鍛えられます。

ここをトレーニングすると、体が細く引き締まる印象になります。
マッチョになるなら、腕を広げる
マッチョになりたいなら、腕を広げましょう。背中よりも胸に刺激が行きます。






ボディビルダーみたいな体をイメージしてください。
2:下半身
下半身も鍛えられます。腹筋、お尻、さらに足の筋肉も使います。体をまっすぐにし続けますからね。
〇:下半身全体

①:腹直筋(ふくちょくきん)

②:大殿筋(だいでんきん)

③:大腿四頭筋(だいたいしとうきん)

④:ハムストリング

⑤:ヒラメ筋


トレーニングの違いで、作られる筋肉も変わる
ここで、作られる筋肉をご紹介しましょう。次の2つになります。
- 「8~12回」で限界を迎えると、大きく強くなる
- 回数が増えると、細く引き締まった体になる
早速、確認していきます。
1:「8~12回」で限界を迎えると、大きく強くなる
8~12回で限界を迎えるトレーニングは、筋肉を大きく強くします。ボディビルダーのトレーニングがこれになります。

2:回数が増えると、細く引き締まった体になる
回数が増えると、細く引き締まった体になります。ボクサーやマラソンランナーのような体ですね。ちなみに、ボクサーは3分間(1ラウンド)で300発のパンチを出します。

正しいフォームで筋肉に大きな刺激を与える
ここで、正しいフォームをお話ししましょう。腕立て伏せを含む、全ての筋トレに大事なこと。それがフォームです。なぜなら、筋肉に大きな刺激を与えるから。やり方は、こちらになります。
- 1回の流れ
- 2秒かけて、体を下す
- 1秒キープする
- 2秒かけて、体を上げる
- 1秒キープする
- 手は胸の下
1回あたり6秒を使う

①:2秒で下ろす

②:1秒 そのまま

③:2秒で上げる

④:1秒 またそのまま

手は胸の下あたり

腕を広げた場合と、閉じた場合、両方見ていきます。
〇:腕を広げた場合

〇:腕を閉じた場合


やってはいけない5つのこと

その1:反動を使う
その2:ひじをカチッと伸ばす
その3:ひじが動く
その4:上半身が先に動く
その5:下半身が先に動く

その1:反動を使う

反動を付けると、簡単にできるだけでなく、関節にも大きなダメージを与えます。だから、筋肉の成長が遅く、ケガの可能性も出てくる。これはぜひとも避けたいですよね。
その2:ひじをカチッと伸ばす
先ほどの「反動をつける」のと同じで、ひじをカチッと伸ばすのも、ケガの危険が高くなります。

関節にある腱(けん:筋肉と骨をつなげるもの)や靭帯(じんたい:骨と骨をつなげるもの)を痛めると、治すのに長い時間がかかります。それは血管が通っていないから。栄養を血液で運べないためです。
その3:ひじが動く


ひじが動くと、負荷を逃がしてしまいます。つまり、これも筋肉の成長を遅らせてしまう。

その4:上半身が先に動く
上半身が先に動くのも、意味がありません。


その5:下半身が先に動く
その4と同じ理由で、下半身が動くのもダメです。


出来ないなら、この4つで必要な筋肉を作る
もし、出来ないなら、この腕立て伏せをしてください。
- ひざをついて
- 机や階段に手をついて
- 壁に手をついて
- 腕と足のつま先で、体全体を支える
あなたの筋肉を成長させますよ。
1:ひざをついて
まずは、ひざをついて。これで、少し負荷が軽くなります。早速、流れを見ていきます。
〇:流れを4コマで見る



- 胸と床の間は、拳1つほど空ける
- 足はそろえたまま


〇:YouTubeで確認

2:机や階段に手をついて
机や階段に手をついて行えば、さらに負荷は軽くなります。

〇:流れを4コマで見る

- 体と床の角度は45度を目安に
(辛ければ、これ以上でも問題ありません)


- 胸が軽く触れるまで

〇:YouTubeで確認

3:壁に手をついて
壁に手をついてなら、あなたにも出来るはず。

〇:流れを4コマで見る



- おでこが壁に触れるくらいまで下ろす

〇:YouTubeで確認

4:腕と足のつま先で、体全体を支える
体全体の姿勢を気にしているなら、このトレーニングをしましょう。「フロントブリッジ」とも言われていますね。これで、自分の弱い部分が分かります。
〇:横から見ると

〇:前から見ると


3つの効果
腕立て伏せを含む運動には、次の3つの効果があります。
- アンチエイジング
- 健康
- ダイエット
これで、あなたはトレーニングしたくなるはずです。
1:アンチエイジング
運動には、アンチエイジング効果があります。このアンチエイジングとは、実際の年齢よりも、若くいられることになります。まず、日本抗加齢医学会(にほんこうかれいいがっかい)にて、運動の力をご紹介しています。
アンチエイジング医学は“加齢”に焦点をあてた究極の予防医学といえる。 予防医学を考えるときに最も中心的な医学となる可能性を秘めた医学なのである。
現在厚生労働省は、メタボリックシンドローム撲滅のためにあげている、適度な運動、適切な食事、禁煙、サプリメントなどはまさにアンチエイジング医学の流れにそったものであり、単に疾患予防というレベルを超えて、さらに健康レベルをあげていくことがアンチエイジング医学的アプローチといえる。
所見から抗加齢(アンチエイジング)的な医学的戦略に結びつけます
(例)
骨年齢が高ければ、 適量の骨に刺激を与える運動や有酸素運動をすすめます。
体脂肪が多く、筋肉量、筋力等に問題があれば、 具体的な運動方法を教え、簡単に出来る筋トレを指導します。
血管年齢が高ければ、 動脈硬化性疾患の存在を念頭に置き、上位の医療機関で再検査を行い、抗凝固療法なども視野におきます。
さらに、肌の老化を予防する力も、論文で証明されているのです。
皮膚の老化を避けるためには光老化対策、酸化ストレス対策、糖化ストレス対策が重要である。
一次予防としては骨格筋肉量の維持、適度な運動、適正な食習慣が奨励される。これは血糖の急激な上昇を避け、インスリン抵抗性を増加させないためである。グルコースの70%は骨格筋で消費され、骨格筋量の減少がインスリン抵抗性増加を助長するので筋肉負荷運動は重要である。

2:健康
運動には、健康にする力もあります。これは、親から言われた人も多いはず。例えば、病気の予防効果が論文で証明されています。
適度の運動負荷は生体に刺激を与え, 組織の機能を一時的に低下させるものの, 運動後の機能はかえって高い水準にあがる.)は生体に障害を引き起こす過酸化脂質の変動に関しての検討で適切な種類と強さの運動訓練を重ねることにより, 健康を維持できるだけでなく,疾病の予防効果も期待できるとしている
さらに、体を丈夫にする力を高くするのも、証明されているのです。
適度な有酸素運動は免疫力(めんえきりょく)と抗酸化能力(こうさんかのうりょく)を高める作用があり、運動終了後一定期間持続する。
※:免疫力、抗酸化能力…体を丈夫にする、病気から守る力
また、落ち込んだ状態が続く「抑うつ(よくうつ)状態」にも、効果があります。
トレーニングの進行にともなって安静時心拍数は有意に減少し,心臓自律神経活動は有意に亢進した。POMS の得点も全ての項目で改善し,特に抑うつ一落ち込み得点で有意な改善が見られた。運動の急性効果としては,トレーニング期間後期において運動後脳波(のうは)にしめるa 波の割合が有意に上昇した。

3:ダイエット
運動には、ダイエットの力もあります。腕立て伏せのような「全力を出す運動」には、カテコールアミンという「脂肪を分解するホルモン」を出すのです。
〇カテコールアミンの働き
脂肪動員の引き金になるのは、アドレナリンやノルアドレナリンなどの、カテコールアミンとよばれるホルモンである。
~(中略)~
カテコールアミンの血中濃度が高まり、脂肪細胞表面の受容体に結合する。これに応答してペリリピンがリン酸化されると、CGI-58はペリリピンから離れ、かわりに ATGL と相互作用することによって、この酵素を活性化する。またペリリピンがリン酸化されることによって、HSL は脂肪滴にアクセスできるようになる。HSL 自身のリン酸化も、脂肪滴へのアクセスと活性化に寄与する。
このように、多くのタンパク質や酵素が脂肪滴表面で協調してはたらくことにより、大規模な脂肪分解が起こると考えられる。
〇 全力運動
血漿A(アドレナリンの濃度)は70~90%(運動)強度で急激に増加したのに対して
アドレナリンとノルアドレナリンは70%VO2MAX(運動の強さ)の場合に、運動60分後と2時間後で他の条件に比べ(30%~60%の運動の強さ)約2倍もの濃度差が認められた

まとめ
腕立て伏せに必要な筋肉も、トレーニングの仕方も、正しいフォームも分かりました。ただ、実際にやらないと、筋肉はつきません。さあ、早速始めましょう。体は、あなたの思いに、必ず応えてくれますよ。